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■野性的ハイトーン養成講座■

「ハイトーンってどうやって出すの?」と質問に対して、一般的にその回答として良く耳にするのは「息のスピード」とか「気合い」ではないでしょうか?

理論的には・・・

@シラブル

「ほー」とか「ひー」とか発音の仕方で口内面積が変わります。例えば口笛で高い音を出す時より低い音を出す時の方が口の中の面積が広くなると思います。楽器を吹くときもそれと同様の現象が起きているはずです。これ意識するだけでもだいぶん違います。

A筋肉

高い音出しているときと低い音出しているときでは顔の筋肉の緊張具合がだいぶん違うと思います。口の周りも含めて、あごの両サイド、マウスピースの中の唇の部分がかなり緊張状態のはずです。つまり、必要な筋肉の増強により、奏法が安定するだけでなく、高音域から低音域までに対応できる柔軟な状態になるわけです。

私の音域変遷(手っ取り早く結論見たい方はここを押してください)

1987年〜

中学校吹奏楽部でホルンを手にする(YHR-664D/YAMAHA31B)/実用音域  B-c2(約2オクターブ)

低音域では楽譜にB以下が出てきたことがないためそれ以下は練習すらしなかったし、たまに興味本位でハチャメチャアンブシュアでペダルトーン。高音域についてはf2(いわゆるハイF)は、あ、出た!!って感じで絞り出したもので、使える音質ではなかった。日々のトレーニングとして体育会系吹奏楽部らしく校内ランニング、1日腹筋50回〜(汗が出るまで)、ロングトーンばっかり。年に数回プロ奏者によるクリニックを受講し呼吸法、イメージすることの大切さを教わる。結局中学3年間でかろうじてd1(若干いんちきですが、B管の開放運指)が実用レベルになる。日々練習の成果か、3年間で音質のざらざら感が軽減されレガート奏法が可能になった程度、音がでかいことでは定評があった。当時の目標は当時ベルリンフィルの首席ゲルト・ザイフェルト氏


1991年〜

・高校吹奏楽部でホルンを続ける(YHR664D/YAMAHA33D4)/実用音域 B-d2(約2オクターブ)

低音域は相変わらずb以下が出てこないためそれ以下の練習は一切せず。腹式呼吸やのどを開く等の技術(*)を磨き、たくさんの息が吸えるようになり、勢いでf2(ハイF)は出るようになる。伝説のハイトーン系吹奏楽コンクールの課題曲等(風の黙示録、深層の祭り、マーチ・テイクオフ、クロスバイ・マーチ)に触れ、さらい続ける。プロ奏者によるクリニックも1回受講。また上手な金管のOBの先輩方に色々アドバイスを受ける(呼吸法とイントネーション、発音、タンギング)。また当時、耳コピながら火の鳥のカスチェイの踊りのハイEやプロコフィエフのロメジュリのハイFが出てくる部分とか色々さらっていた。色んな上手な演奏やCDを聞き、「あー、この曲吹いてみたいなあ」っていう憧れや欲求だけで、奏法等の追求よりは願望だけでホルンを吹いていた時代。さらにこの時期口笛は高い音と低い音で口の中の面積の違いが出ることに着目し、無意識にホルンの奏法に取り入れていたような気がする。受験で1年間はほとんど吹かなかったので実質2年間の出来事。壁はd2-e♭2付近から上

*このときに培った技術がその後の人生の飲み会でまさか役に立つとは・・・


1994年〜

・大学で管弦楽団に入団(YHR664D/YAMAHA33D4)/実用音域 G-e♭2(約2オクターブ半)

1年の定期でフィンランディア(1st)とベートーベンの運命(2nd)をやることになり、さー大変。出したこともないペダルトーンg(第4楽章などに出てくる)出現。レッスンに付いている先輩方にペダルトーンのレッスンを受けた。また練習教本コーポラッシュとの出会いがあった。

1996年〜

楽器購入(アレキ103黄色)とともにその後数々の修羅場を乗り越えるマウスピース、シュミットのNo.9(金メッキ仕様)に変える。その後ショスタコービッチの5番やベートーベンの2,7番、シューマンのラインなど「殺すきかー!!!!!」って曲を経験し実用音域が上下に伸びる。実用音域 A1-f2(約4オクターブ弱)に達する。正直オーケストラでどんな曲がきても対応できるには(家庭交響曲やハイドン系一部特例除く)この音域が吹けないとやってられないってことは身にしみます。上吹きのプレイヤーはせめて上はベト7で出てくるe2くらいは常時出せないと厳しいと思います。何だかんだ2005年6月現在、まだハイFは演奏会で一度も使ったことはありません。

参考記録:演奏で使ったことはないし、使い物にならないですがF1-d2(いわゆるダブルハイD)(約5オクターブ弱)までは自分の楽器で絞り出しました。しかし実際のところf2-f♯2くらいが今の上限であります。デスカント管の使用により多少の上限変動はありますが、道具を代えてもだめなものはだめです。

所感集

ハイトーンとの闘い(ベートーベン交響曲第2番第2楽章での叫び

結論
専門的な知識や奏法は多くの著書(フィリップ・ファーカス氏、フロイディス・リー・ヴェクレ女史などが書いた本)を見ていただいたくとして、その他出版されている様々な教本、プロ奏者によるレッスン等で理論は習得できると思います。アマチュアの私が考えるハイトーンの出し方とは?

@プロ奏者に習う

 特に説明の必要はありませんね、近道になるかもしれません。やはりそれで生計を立てるプロフェッショナルな方たちはすごいですよ。しらぶるーー。ただし、習ったからといって明日や明後日には出る保証はありません。

A中低音の響き、五線譜の第五線付近の音を継続演奏する耐久力

 ロングトーンの音階練習等でよく使う中低音域を豊かな響きでしっかりとした良い音を出せますか?まずはそれが絶対条件だと思います。それが出来ずにハイトーンばかりに固執するのは大きな間違い!!。更に!!、チャイコフスキー交響曲第4番第4楽章などでは連続的にBやHやCが並んでいるパッセージが多くあります。良い音色で余裕を持って吹ききれるか?BやCはたいていの人がしっかりと鳴らせる程度の音域ですが、連続的に出てくると唇やその周辺の筋肉へのダメージはかなりのものです。最後の方はへろへろではないでしょうか?私の考えるところの壁の1つである、特にハイD以上の美しいハイトーンを出すためには、BやC程度の音域で筋肉の耐久力や息の入れ方を鍛錬し、強靱な筋肉とアンブシュアを形成する必要があると考えます。ハイトーンが単発で一瞬だけ出ても、曲中で練習できなければ意味ないですよね。BやCが継続的に良い響きで楽に鳴ってくれば自ずとハイFへの道が開けると思ってます。従って、焦って急な階段を上ろうとせずに、じっくり地盤を固めることが大事です。自分の楽に出せる音の限界点を知り、一歩一歩進めばいずれ結果が出ます。多少音質が汚くても割れても良いので息をタップリ吸って、はっきりとした発音でハイトーンに必要な要素を徐々につかんでいければと思います。

B日々の練習でのハイトーンの導入

  日々の練習の中で必ずハイトーンの練習を取り入れる。人間は弱いもので知らず知らずの間に自分の楽な方向へ無意識のうちに逃げがちで、できないことは、やらなくなる傾向にあります。楽曲でも美味しいお手頃な部分ばかり練習し、難しい刻みや曲の本質を見落としがちでは??基礎練習でも同様です。基礎練習という名の、ただの音並べになっていないでしょうか??面倒くさい、苦しいという理由で自分の楽な練習に片寄ってませんか??ハイトーンも自分の限界の音は毎回出しておく必要があります。調子がいつも同様で、長期ブランクの後や体調不良の時以外は、可能ならば少し無理してでも限界以上の音も積極的に吹いていく練習をする。ただの音階で良いと思います。丁寧にゆっくりと上昇しそして下降してくる。手始めはこれで充分です。少し慣れてきたら、分散和音(ドミソミド、シレファレシ・・・など)や教本に掲載されているような音階、また色んな楽曲の楽譜をさらってみるのも良いと思います。

私事ですが、最近は現状に甘んじず、ハイF以上も自分の音域とする練習も含め、タイタニックファンタジーというホルン12重奏のハイGやハイFisの出てくるパッセージも積極的に練習して、練習の度に1回は出すようにしています。たくさん吹いてバテた後ですと、もちろんハイGは出ませんが・・)

Cイメージする、そして表現する

 抽象的でわかりにくですが、どんな音を出す時でもホールの一番奥に向かって吹けとか、遠くに音をとばす!!ということをプロ奏者をはじめとして皆さんおっしゃいます。マーラーのシンフォニーに突然出てくるハイFとかは「背筋を伸ばして眉毛をつり上げ気味で、若干ベルアップ気味で」をイメージする管理人です。外すのなんて怖くありませんよ。強い決断力を持ってズバンっと!!息を入れてください。音が当たれば何か見えてきます。pくらいの弱さでも吹ける要領が分かるかもしれません。躊躇すると絶対外します。何をしたいか分からない中途半端な息の入れ方じゃいけません。

D道具も多少は考慮しよう

 道具によって音程や響き、出しやすさはありますが、ハイトーンが得意な奏者はどんな道具でもハイFを出すことができるし、つまりハイトーンの苦手な人がデスカントホルンやアルトトロンボーン、ピッコロトランペットを使っても高い音が必ずしも出るわけではない!!ということ。ただし明らかに上が鳴らしにくい楽器はありますし、マウスピースのリム径、ボアサイズ、カップ形状によって多少の差(特に長時間演奏の時の当たりやすさ、コントロール性など)はあると考えてます

最後に・・・

努力、最終的にはこれに尽きる。自分でやる以外に誰も助けてはくれない。こだわりというか執念というか、色々試せばいいと思います。ハイエフロングトーンに3オクターブ音階練習。「絶対出してやる!!」、野望、願望何でも良いのです。最後に中学生、高校生ですとまだ体の作りや臓器が未発達な場合があり、余り体に負担をかける練習は百害あって一利なしです。楽器の構え方も含めて教本を熟読し、機会があれば1度でも良いのでプロ奏者にレッスンしていただくことをお勧めします。