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メディアから伝わる曖昧な情報

グルメ情報の番組等でレポーターが「口に入れた瞬間においしーーい」というのは滑稽だ。 笑いが止まらない。また庶民ではなかなか口にできない「アラ鍋」を食した瞬間にあったかーい!!と言ったのも笑える。そりゃー加熱した物なら何でも温かいだろうよ、姉ちゃん。

アラが号泣するぞ (ToT)!!

ちょっとばかり気の利いている場合は、何々のようなとか、何々に近いと表現してくれる、これは視聴者には有り難い。(TV番組では無音時間が長すぎるのは放送事故で、これがリポーターのコメントに制約をかけている結局は「おいしい」と言えば無難だし、作り手も悪い気はしない。


●食べ物のおいしさを言葉で伝える難しさ

屁理屈はこれぐらいにして、食べ物のおいしさの要素は色々ある味(フレーバーやアロマ)、色、食感などであるが、味は甘い、しょっぱい、辛いなどでそれに比べて食感を表現する言葉は何と豊富な事だろう、グルメ番組のリポーターの口から出る言葉もほぼ「食感」ですね。「あっさりとした、こってりとした、まったりとした」なども結局は口腔内で感じ取った感覚から発せられる言葉でもあるのです。 ただし中には特殊な人間もいる、私の友人で「生ガキにあたった!!」で登場したK博士は「食感」ではなく「味」について具体的に述べられる一人だ。私にもなんだかんだ言っても「味」について詳細に述べる事は難しい。


  
「おいしさ」を少しだけ科学的・専門的に考えよう。「おいしさ」を足し算や引き算のように 数学的に考えるのは無理なのか?

単純に考えればおいしさが数値化ができればどんな飲食店でも大繁盛間違いなし!というわけにはいかないだろうが、目安にはなるし興味深い話ではありませんか?

●おいしさの要素の一つ、食感の数値化

 我々は食べ物を噛む(咀嚼)ことで「硬さ」、「水分量」、「粉っぽい」、「崩れやすい」など口腔内で感知する。もちろん歯と歯でその付着性(ネバネバする、ゴム状、繊維質)を感じたり、飲み込む際に感じる感覚も含まれる。そういうパラメーターを測定する【レオメーター】という機械があり、人間の咀嚼活動を模倣して食べ物に荷重を掛けて各パラメーターを測定分析する機械なのだが、人間の咀嚼活動から得られる膨大な情報を計り知ることは不可能です。しかも我々の口にする物は不均一の形態な物がほとんどで成分も多種多様で数値としては示せない。とはいえ、膨大な測定データを蓄積しと官能試験結果を繰り返し、統計的手法によって「道しるべ」を導くことは可能だと考えます。実際にはグミキャンディも食感の観点から作り出された代表的な商品です。今後は更なるデータの収集・解析、より人間の咀嚼活動に近い測定機器の出現が「おいしさ」の数値化を現実の物へとすることでしょう。

参考文献:Szcesniak,A.S.:J.Food.Sci., 28,385,1963