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2004年3月の前半の2つの演奏会、実は歯の激痛と闘いながら演奏してました。しかし私は信頼の出来る歯医者さんに人生を救われました。

ドキュメントを時系列でどうぞ!!

3月2日(火)

2つのでかい前歯の片方に違和感を感じる

3月3日(水)

この日の夜、エグモントのホルンカルテット練習後、帰宅。食事中に前歯に触れると少しズキズキ歯が痛む。しかし寝る頃にはおさまり、知覚過敏?かなとそのまま就寝。

3月4日(木)

爆弾爆発。歯にはじっとしてるだけでも激痛が走り、頭痛も併発という状況。ついでにものをかむことすらままならない状態。楽器を吹くなんてとんでもない、大事をとって行く予定にしていた練習をやむなくキャンセル。夜も満足に睡眠を取れず。長久手フィル演奏会3日前にしてかつて無い不安感が襲う。

3月5日(金)

朝起きても、歯の痛みは全くやわらいでおらず、余計にひどい。人との会話もしたくないくらい痛い。まさかひどい虫歯?とか色々想像しつつ、頼み込んで会社を少し早退させてもらい歯石洗浄とかでいつもお世話になっている歯科へ直行。虫歯検査にありがちな「歯にエアーをかけまくって目視検査」をする。が、エアーをかけても歯に痛みも感じないし、プラークもほとんどたまっておらず虫歯ではなさそう。では何??と益々不安になる。

 歯科医:「虫歯ではないようです、ストレスや疲労の蓄積によって起こる神経的な痛みかもしれませんし、神経が死にかかってしまっているのかもしれません。もし死にかかっているのなら、痛みのピークが通り過ぎたと思って安心しても、それは神経が死んでいて、そのまま放置すればえらいこと(内部から腐ってきて歯が抜け落ちるなど)になります。でも痛みに波があって、痛みがおさまっていく傾向なら神経的なもので痛みがひけば問題はないと思います。ただし、今どうしても我慢できない痛みであれば、神経を処置してしまえば楽になりますし、痛みを我慢せずにすみます、それは患者さんの判断です、が、痛みの感じ方は個人によって違いますので。医学は進歩してますが、神経のことは実はまだよく分からない部分が多いんです。」

 私:「今、我慢できるぎりぎりの痛みですが、神経処置=差し歯 ですよね・・」

 まあ差し歯といっても通称で、今は上の部分だけ取り替えることが出来るみたいで医学や歯科技工の技術は進歩したようです、とはいえ、根っこは残っていても歯を失うことに変わりないのですが・・・。

 私:「神経処置して仮歯とか色々時間かかりますよね、歯抜けの状態になるのですか(頭の中ではレレレのおじさんがホウキ持ってる姿が思い浮かんでいるのであった・・・)」

 歯科医:「神経処置は歯の裏側に穴を開け取るだけなのですぐに終わります、痛みはウソのように取れると思います。神経処置後も歯抜けにはなりませんよ、神経処置後歯を削って、根っこに土台を造って仮歯をその場でいれます、その後正式な歯が出来るまで約1ヶ月ってとこでしょうか」

  と、歯科医との長いインフォームドコンセントの末、私はとりあえず痛みを我慢してみて良くなる方にかけることにした、その日は歯にシミ止めを塗ってもらい、最強の痛み止め「ロキソニン」を2錠もらってその場をあとにした。

ロキソニン→

ちなみにこの日もファミリーコンサートの譜面さらいたかったが、痛みは正直言って和らぎもしないが、疲労をとるためにもとっとと寝た、痛み止めも飲まずにそのまま昨日の睡眠不足か、ぐっすり。

3月6日(土)

 朝起きると、若干痛みがひいている。が、依然として食事中、歯にものが触れると「ズッキーーン」。じっとしていても昨日よりはマシですが、結構痛みが周期的に来る。前日の練習は不安を抱えながらの出席。痛み止めは最終兵器なのでファミリーコンサートと愛知教育大学のチャイ5の前に飲もうと、そしてファミリーコンサートが不甲斐ない出来で痛みがどうしてもひいていかないなら月曜日に神経処置してもらおうと心に誓った!!。その日のリハーサル、マウスピースを3日ぶりに口に当てる、ホルンのマウスピースは小さいので痛い部分に触れる面積は少ないものの、B以上の高音を吹くと「ズッキンズッキン」、フィンランディアや運命は結構つらい。でも団員に余計な心配をかけまいと、笑顔を装うが、「今日どうしたの?」とある団員さんに言われる、何とかごまかしてなるべく高音はセーブして吹きその日のリハは終了する。ものすごい不安を抱えまぢで精神的プレッシャーと不安から泣きそうになる。

3月7日(日)

 演奏会当日。一昨日や昨日よりは少し痛みはやわらいでいる。が、歯磨きも痛い。モノを食うのも痛い。楽器は?やはりあまり良い状態とは言えない。音はしっかり鳴らしてるつもりだが、不安からかフォルテ以上のハイトーンが怖い、フィンランディアが怖い。当日のゲネプロもほどほどにし昼食。昼食後ロキソニンを飲むかどうか悩む。が、集中すれば何とかいけるだろうと飲まずに演奏会にのぞむことに。

 そして本番へ、集中すれば痛みも感じません、ウソのように痛みがひき、特に支障もなく、不安ゼロというわけではありませんが、痛みがひいている傾向にあるので、そういうプラス材料を思い浮かべ本番を良好な状態で乗り切った。結果は良かった、思い切り演奏できた。この調子で行けば痛みもひく、チャイ5もいけると確信。が、痛みがひく=神経が死ぬ=差し歯=レレレのおじさんという方程式は依然として心の中に渦巻いている。

 その日の打ち上げにて・・・

 乾杯、その後しばらくして酔いがまわる、そして歯に激痛が走る、「うげげ・・またか、まさか?」と思うが、演奏も悪くなかったし、笑顔で飲みまくった。翌朝起きてみるとそれほど痛みはない、とりあえずもう少し様子を見ることに、少し安心する。

3月9日(火)

 エグモントのホルン4重奏発表の日。じっとしているだけでは痛みはあまり感じない、が、スプーンとか箸が歯に当たるとズキズキ痛む。エグモントにはハイFとかハイトーンががんがん出てくる、当然歯に負担はかかるが、せっかくここまで練習してきたのに止めるわけにはいかない。演奏の出来はどうあれ、とりあえず乗り切る。

3月12日(金)

前歯に激痛が走ってから1週間。静止状態での痛みはないが、楽器をばりばり吹いたあとや、仕事が終わってからはやはり少し痛むという状態。今回チャイコの5番では強奏部ばかりの出番で、やはり負担がかかる。しかし痛み止めのお世話になることもなく、精神的にため息が出るほどの不安もなくこの日のゲネプロ、本番ともに無事乗り切る。

 現在に至る。ちゃんともらった痛み止めも薬箱に2錠入ってます。

 まとめ

 結果として、激痛が走ってから不安を抱え3つの演奏会を乗り切りました、集中している時以外は不安がつきまとい精神的に健全とは言えない状態でした。しかし、一番ピーク時の痛みを考えると今は落ち着いてます、楽器も通常通り吹けます。今回私の人生の分かれ道になったのは、@「信頼できる歯科医の診察を早い目に受ける事ができた」ということ、そしてそこでA「しっかりとしたインフォームドコンセントを受けることができた」、B「医師が神経処置を急がず、私に判断する時間的な余裕を与えてくれ、精神的に楽にしてくれた」という点にあったと思います。多分実家にいた頃のかかりつけのは医者に行ったら結果は違っていたでしょう、神経処置されて今頃は間違いなく差し歯、大金を払って、そしてこれから死ぬまでその歯のメンテナンスをしていかなければならない、ひょっとしたら楽器を吹けなくなる可能性もあったし、アンブシュアを崩し学期を止める羽目になったかもしれない。現にそこの歯医者では高校時代速効で神経処置され、高価な歯を入れられた。その判断は正しかったのかもしれないが、何の相談も無しにどういう治療をするかも言わずに神経処置をしてしまった。ただの知覚過敏だったかもしれない。正直言って、医療現場での専門知識は高度すぎて、我々のような素人が家庭の医学を読んだごときではついていけるモノではありません。それが証拠に医療過誤裁判では原告側がその高度な専門知識の壁がある故に不利で、しかも敗訴するケースがよくあります。だから今回しっかりとしたインフォームドコンセントがなければ私もワケも分からずに、演奏会前ということもあり、少しでも早く痛みを取りたいし、この痛みから解放されたいという気持ちで、しぶしぶ神経処置していたと思うし、医者が「じゃあ神経取っちゃいましょう」と言えば、反論もできず言うがままだったかもしれません。だから今回痛切に感じたのは、信頼のできる専門医の存在がいかに大きいか、楽器を吹く上で歯は本当に大切、嫌というほど思い知らされた。

 *最後にこれは私個人のケースであって、状況は人それぞれです。最終判断は本人の責任の元で行って頂きたいと同時に、体に異変を感じた際には放置せず専門医とよく相談されることをお勧めします。