所有者の方の談話

「音質や性格は全く考慮せず、ただ「チェコスロバキア製」というだけの理由でテナー用を落札・購入致しました。「チェコの楽器は素晴らしい」という観念が心深くきざまれていたからです。

高校二年(昭和46年)の冬、卒業する吹奏楽の先輩から購入したのはチェコスロバキア製のクラリネットです。当時田舎の高校生が使用する楽器は、殆どが学校備品で、ニッカン、プリマが九割を占め、ヤマハはまだまだ「高値の華」の時代でした。

そんな時代、個人(金持ちの息子)が所有するチェコスロバキア製のクラは群を抜いて輝いていました。
当時アルトサックス担当でしたが、どうしてもそのクラが欲しく、バイトで稼いだお金をつぎ込んで手に入れた記憶が懐かしく想いだされます。

卒業後はサックス一本でノンプロの道へ進み、吹くことの無いクラは呑み代として、質暖簾の奥に消えて行きました。今考えれば残念な想いででもあります。

ラーセン似のこのマウスピースは以外におとなしく、違和感無く使用できます。悪く言うと、個性に欠けるのでしょうか・・・。

1993年に「チェコスロバキア」の国名が消えてから久しく時が流れています。これからも国内でこのマウスピースに合う機会も少ないかも知れません。

時折使用するこのマウスピース。アルト・テナーともに「コレクションの一品」として所有しています」

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